2019年02月18日

労働基準監督署からの是正勧告と労務監査のお話


「働く喜びに満ちた会社」に育てる! の成戸です。

本日もご愛読ありがとうございます!

◎労働基準監督署からの是正勧告と労務監査のお話

先週、6年ほど前に一度労災保険の加入状況調査のために訪問した会社から突然連絡がありました。

「労働基準監督署の調査が入り、改善点を指摘されたので、お願いしたい。」との事でした。

実際には今回は、各会社ごとに労働基準監督署に来署するように手紙での要請があり、

数社ごとに賃金台帳、出勤簿、労働者名簿といった基本の「労働3帳簿」から、 就業規則やタイムカードなと、細かく法令に沿って実務をこなしているか確認されます。

今回は、ここでいくつかの項目で引っかかったわけです。

改善するまでの期限を労働基準監督署の職員に決定されているため、急いで修正もしくは改善しなければなりません。

そのため一般企業の人事労務担当者や、中小企業の経営者(時に社長の奥さんなど)が自分の手に余る内容だとして、我々社会保険労務士に依頼してくるわけです。

そこで、会社に訪問し、改善する箇所とその手法、そして私の報酬額に合意頂いて仕事がスタートします。

今回は、
・従業員採用時の労働契約の書面表示と合意書の未作成。
・時間外労働を可能とする三六協定の未作成
・合わせて時間外労働に対する割増賃金の計算方法の間違いによる未払賃金の発生
・給与から控除するの労使の合意(協定)の未作成(互助会費やお弁当代など)

といった基本的なものについて、 指摘されてしまいました。

これらを修正し、書面を作成するものは作成し、報告書を労働基準監督署に提出しなければなりません。

これらを期限までに何の理由もなく実行しない場合は、法令に則り懲役または罰金と言った刑罰が下され、時には新聞に載ったりします。

つまりは労働基準監督署も違法行為をしている会社に対して即座に罰則を与えるようなことが分かります。


話を戻しまして、今回の指摘された点は人事労務の実務として非常に基礎的なものでありますが、小さな会社では今まで何の問題もなかったとして、何十年も知らずに見過ごされてきたものです。

それを今回、労働基準監督署は、きっちりと見つけて指摘されました。

どうやら近年、厳しく取り締まるようになってきたようです。

この姿勢の変化を推測するに、働き方改革関連法は、従前の労働法の上に成り立つものであるため、まずはすべての会社の人事労務の実務の基礎を整える必要から、各社の遵守を徹底しているように思われます。

例えば労働時間を正確に把握する術を持っていない会社が、労働時間の上限を守ろうにも、把握出来なければ守れません。

付け加えれば、三六協定の存在を知らない会社が労働時間の上限について知識がある可能性は低いと考えられます。


翻って、働き方改革関連法について深く考える前に、きちんと従前の法令を遵守しているかどうかを振り返る必要がある、ということになります。

「今まで労働基準監督署や、その他誰にも指摘されなかったから自社は大丈夫だろう」ではなく、(労働基準監督署に指摘されるのは嫌でしょうから)社会保険労務士等の専門家に「労務監査」といった形で診断してもらってはどうでしょうか。

会社自体の健康診断ですね。

言い方はよろしくないですが、労基署の問題点の指摘から改善までの期間は平均1ヶ月以内と、あまり長くありません。戦略も戦術ありはせず、なりふりかまわぬ修正を迫られます。

これに対し、例えば社会保険労務士の労務監査による指摘であれば、少しは時間を稼いで社内に大きなショックを与えず中期的に改善できる可能性はあります。

私見ですが地元で名の知られた企業であっても、会社の良いところを聞き出そうとしているインタビューであっても、時として怪しく感じられる箇所を見つけてしまうこともあります。

完璧な会社はないと考えて良いのではないでしょうか。

社会保険労務士を上手に活用していただきたいと思います。

今回はお役に立ちましたか?今日はこのへんで。
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2019年02月11日

働き方改革関連法セミナー講師 報告

「働く喜びに満ちた会社」に育てる! の成戸です。

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◎働き方改革関連法セミナー講師 報告

新たな法改正への対応方法を伝授。

1月25日に岐阜県大垣市、2月7日に岐阜県関市で「岐阜県社会保険協会主催:働き方改革関連法対応セミナー」講義を行いました。

私は関市に自宅があり、今回は初めて地元で企業向けの講義を行うことが出来たので、ようやく地元に接点が出来た気持ちです。

働き方改革関連法のセミナー.jpg
働き方改革関連法のセミナー2.jpg

参加者が大垣120名、関市100名満員御礼と、皆様の今回の法改正への関心の高まりを実感します。

改革関連法の内容を知りたいと思われるのが当然ですが、実際は今までの労働法を踏まえたうえでの理解が必要になるため、一般的な人事労務担当者の理解の程度を推し量りつつ、改正前の話から進めました。

例えば、従業員に残業をしてもらうには36協定を結び、労働基準監督署への提出が必要となります。これが出来ていない会社に「時間外労働の上限規制」の話をしても効果はありませんね。

立って話をする講師からは100人の参加者であっても不思議と一人一人の顔が見えるもので、このような前提を話している時点で険しい顔をされる人が見えてしまい、基本が出来ていない可能性があるのだろうと推測してしまいます。

講師をする側の人間として、今回の働き方改革関連法を要約してしまえば、その実務対応の変更点は、それほど多くはありません。

・時間外労働時間の上限が出来たため、上限に触れないように管理する。
・年次有給休暇の取得管理簿を作成し、年に5日以上の取得を管理する。
・従業員の健康管理のために、産業医等との付き合いを密にする。

これらの内容であっても、以前から残業を減らすように努力し、年次有給休暇の取得を促し、従業員の健康に十分に配慮してきた会社であれば、特別な負担はとても少ないものです。

実務上の現実でありそうな話として、指揮命令を無視して
・残業を止めない従業員がいる。
・年次有給休暇を取得しない従業員がいる。
このような問題は今までの「上司の指示命令を守らない従業員問題」が一部表面化しただけと言えなくもありません。法対応とは別の組織力や従業員教育が論点になります。

講義の最後に、働き方改革関連法の意味として「労働時間の削減、年次有給休暇の取得増、給与平均額の上昇を求められており、今後の人件費の増大が見込まれる中、会社経営そのものの形が問われる」とお伝えしましたが、真意が伝わっているのかどうか、危機感を持たれている人が少なかったように感じました。皆さん利益率に余裕があるのかな?

例えば今回の「時間外労働上限規制数値以上に残業しないと経営が成立しない」場合は「脱税をしないと会社がつぶれる」と同じ意味であり、日本に存在してはいけないことになります。ビジネスモデルそのものの改革を迫られているのです。

今回勉強に来られた方々は、安定した経営をされているのであろうと楽観的に見ておきます。何かあれば相談がくるのでしょう。出来れば将棋の詰みのような状況になる前に相談に来てもらいたいと願うばかりです。

今回は以上です。内容はお役に立ちましたか?今日はこのへんで。
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