2014年10月30日

妊娠を理由とする降格を無効とする裁判の判断 その2

「働く喜びに満ちた会社」に育てる! の成戸です。

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◎妊娠を理由とする降格を無効とする裁判の判断 その2

27日に書いた日記の話を知り合いと話すと、人によっては様々な捉え方をしているため、追加すべきであると思い立ち「その2」を書きます。

平成24年(受)第2231号 地位確認等請求事件 平成26年10月23日 第一小法廷判決の判決文を読みますと、私の視点では前回の日記で書いた内容以外での要点として、

上告人(女性従業員)が妊娠により軽易な業務への転換を請求し希望したため、事業主側は軽易な業務に転換した。副主任からの降格は同意の上であった。

育児休業から復帰した際に再び副主任に任命されることがなかった。再任されない事実を女性従業員が知ったのがこの時であったため、不服として強く抗議した。

この流れから休業復帰後の説明が不十分であった点が問題でもあると分かります。単純に降格が問題ではありません。

また復帰後も当女性従業員よりも職歴の短い従業員(つまりは後輩が)副主任として任じられており、その上下関係が心理的にも不服があったと見受けられます。

降格による管理者手当等が無くなり、賃金の低下もあります。


判決文を法律面から見ますと

「男女雇用機会均等法は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図るとともに,女性労働者の就業に関して妊娠中及び出産後の健康の確保を図る等の措置を推進することをその目的とし(1条),女性労働者の母性の尊重と職業生活の充実の確保を基本的理念として(2条),女性労働者につき,妊娠,出産,産前休業の請求,産前産後の休業その他の妊娠又は出産に関する事由であって厚生労働省令で定めるものを理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはならない旨を定めている(9条3項)。・・・」

と、強調されており、同法の目的・基本理念や趣旨を重視し、今回の事件の会社側の対応は、妊娠を理由とした事由が消滅した後も妊娠以前の職務・役職に復帰できない点から男女雇用機会均等法に反する9条の不利益な取り扱いと見ることができます。

もう一つ、育児介護休業法にも触れられており

「育児休業,介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「育児・介護休業法」という。)は,育児休業,介護休業制度等を設けることにより,子の養育又は家族の介護を行う労働者の雇用の継続等を図り,その職業生活と家庭生活の両立に寄与することを目的とする(1条)ものであり,そのため,労働者が育児休業申出をし,又は育児休業をしたことを理由として,解雇その他不利益な取扱いをしてはならない(10条)と定めるものである。」

と強調され、10条の不利益な取り扱いがあったと判断しています。


一つ気になったのは「上告人(当女性労働者)が復帰後に(自分のいる部署に)配置されるなら辞めるという従業員が2人いる職場があるなど・・・」と当従業員と共には働きたくない人がいる様子が描かれており、どちらかが一方的に悪いと言えないような現実も伺えます。何があったのかは実際に関わらないと分からない面もありますね。

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2014年10月27日

妊娠を理由とする降格を無効とする裁判の判断

「働く喜びに満ちた会社」に育てる! の成戸です。

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◎妊娠を理由とする降格を無効とする裁判の判断

ニュースの話です。

10月23日に裁判があり、会社で妊娠を理由としての降格を違法として無効とする最高裁判断がなされました。

あまり裁判例を振り回すような内容を書きたくありませんし、この裁判は確定しておらず、2審に審理のやり直しを命じられているところなので今後の結果を見ないとまだ分かりません。それでもこのような判断は初であり、これだけ多くのメディアに取り上げられニュースになる画期的な例となっています。

判断理由として
「妊娠や出産を理由にした降格は、女性の自由な意思に基づく承諾があったと客観的に認められる場合や、円滑な業務運営などに支障があり、降格させても女性の不利益にもならないような特別な事情がある場合を除いて原則として違法で無効だ」

としており「妊娠自体を理由とするわけではなく、妊娠の結果、労働力の一時的な低下があり業務に支障をきたすため降格することと、降格させても本人の不利益にならないようにすべきである」と言い換えることができると思います。

男女雇用機会均等法では、妊娠や出産を理由に解雇や降格・減給などの処分をすることを禁じており、これに抵触する形での判断と言えます。

実際の社会では上記法律で規定されていても守らない会社もあり、それに対して違反した企業の公表や20万円以下の過料と言った軽い罰則しかないのも問題視されてきました。

今回の判断によって従業員の妊娠に際し、判断基準が確定ではなくても見えてきたこと。それによって人事の「すべきこと」が分かってきました。リスクもわかりました。

実務はこれを参考に判断できるようになったと思います。ただ、どれくらいの労働力低下で、どれくらいが円滑な業務運営に支障とされるのか?

妊娠して求められている任務遂行能力以下の力しか出せないにもかかわらず降格に合意しない労働者や、少しでも待遇を下げると合意しないに対してはどうするのか?

降格せず補助職をつけるなどで対応すべきなのか?疑問は様々でてきます。


社労士の視点から一般的な対策を考えると、就業規則の整備、従業員の評価制度、職域の重要度・能力の必要の度合いの把握などが考えられます。

また、この判例を理由として会社が採用時点で女性を雇用しない方針ができてしまうのも問題です。

内閣は企業の女性の活用を法整備化しようとしており、ものごとが様々絡み合って複雑化がさらに進みそうです。


法律だけ見ているとギスギスします。現場ではお互いを支え合う円満な人間関係を育むのが一番の安全対策なのかもしれません。


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2014年10月23日

社労士会支部研修に参加(障害者雇用促進法の改正について 平成27年4月施行分)

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◎社労士会支部研修に参加(障害者雇用促進法の改正について 平成27年4月施行分)

昨日は社会保険労務士会の中濃支部研修に参加しました。

今回のお題は「雇用保険関係研修会」で、公共職業安定所の所長以下4人の職員の方が交代でお話されました。話の半分ほど「雇用保険手続きの説明」で、もう半分を「障害者雇用に関わる支援について」説明され、興味深い内容でした。

ここで一つ挙げますと障害者雇用促進法には「障害者雇用納付金制度」があり、常用労働者が200人を超える企業では障害者雇用率以上の人数を雇わないと納付金5万円を納付しなければならない事になっています。

一般の民間企業の雇用率は2.0%であり、仮に従業員が201人いる企業は201×2.0%=4人雇用していないといけません。

障害者を4人雇用していないと5万円×4=20万円を毎月ごとに国に納付することになり負担となります。

反対に雇用率以上の障害者雇用をしている企業には率を超える人数から月額2万7千円が調整金として国から企業に支払われます。助成金のようなものですね。

さて、この制度が改正され平成27年4月より該当する企業が変更される予定となっており、先ほどの200人超から「常用労働者が100人を超える企業」となります。

これにも国のお得意「激変緩和策」があり、以下のように期間を定めて納付金が4万円に減額されます。
(常用労働者200人超300人以下の事業主は平成27年6月まで、常用労働者100人超200人以下の事業主は平成27年4月から平成32年3月まで)

このように来年から始まる制度改正、さらに平成28年4月からはまた新たに障害者雇用促進法の改正が施行されるなど障害者雇用について法整備が進みます。

裏を返せば、日本は、ここまでしないと障害者雇用は進まない、障害者への理解が薄い国であるとも言えます。

企業はこれらについて(法律と日本の現状)しっかりと理解し、実行していただきたいと思います。

参照
障害者雇用促進法の概要PDF
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha02/pdf/01.pdf

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2014年10月20日

11月から過労死等防止対策推進法が施行されます。

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◎11月から過労死等防止対策推進法が施行されます。

過労死等防止対策推進法が平成26年11月1日から施行されます。

過労死等の防止し、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現に寄与することを目的にした法律です。

過労死等の定義として「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害」とされており、

脳、心臓、精神に関連する問題を中心にしています。過労死等の「等」が含まれることで多くの問題が入る余地が見られます。

基本理念として過労死等の研究と防止のための取り組みをし、国と事業主の相互な連携のもとに行われることを挙げています。

法律は出来たばかりであり、細かい内容はこれから定めてゆく過程なので実務としては未定ですが、今までの過労に関する研究で分かってきたように長時間労働が大きな影響を与えてきたことは間違いありません。

その点では、会社は労働者の労働時間の管理と管理による健康状態の把握、年次有給休暇の取得率の向上、定時に仕事を終える環境作りなど、今までと同じながらも多くの会社が出来ていない取り組みを強化してゆく必要があります。

仕事のために、会社の為に死ぬのが良い生き方なのか個人的に考えることと、そんな会社を経営する意味はあるのか?の労使双方の改めての「あるべき姿の再確認」が現場で求められているように思います。


参照
過労死等防止対策推進法についてPDF
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000061175.pdf

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2014年10月16日

他者のせいにしない

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皆さん台風はどうでしたか。
私のところは強い雨が降ったと思ったら、すぐ去っていきました。
そして少し気温が下がってきましたね。

◎他者のせいにしない

どの会社にも何かしら改善箇所はあるものです。

医療労務管理アドバイザーの仕事を受けてから会社訪問する機会が増え、たびたびありますが、部外者だからこそ見える問題もあります。ひょっとすると自分が成長して分かるようになって来たとも言えるかもしれません。

その問題点を先方に伝えると時には嫌な顔をされます。誰だって人から欠点を指摘されるといい気分はしないものですから気持ちは良く分かります。

こちらも良くなってほしいと願っての言動ですから、改善個所が見つかって歓迎される方もいらっしゃいます。

そこで歓迎される方は良いのですが、言い訳される方がいらっしゃいます。最近聞いたのは「法律が良くない。」「法律を変えたら、この業界は良くなる。ウチは良くなる。」でした。

確かに現場を知らないで制定したであろうと推測できる法律や、時代遅れと思われるものもあることは十分わかりますが、それを理由にしてしまうと「じゃ、法律を変える活動をしてしてください。」となってしまいます。

文句を言う方は、そのような活動をする気がない人が大半ですから、実際は思考停止してしまっている状態と言ってよいと思います。

考えるべきは「その枠の中でどうすべきか?」「枠にはまらない分野で出来ることは無いか?」でしょう。

そんな事を強く思った最近の出来事でした。

全てを自分の責任にすると辛いので、自分で何とかできる範囲で一生懸命 頭を動かしたいものです。


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2014年10月13日

10月より雇用保険法の教育訓練制度が拡充

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現在、台風が日本列島を横断しています。私の所では14:37現在、普通の強さの雨が降っています。これから強くなると予想されます。

自分は仕事で夜に岐阜市へ行く予定がありましたが中止となりました。皆さんもお気を付け下さい。

◎10月より雇用保険法の教育訓練制度が拡充

10月に実施される厚生労働省の制度変更の一つとして雇用保険法の教育訓練制度が拡充されました。

この制度は労働者や離職者が、自ら費用を負担して、厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講し修了した場合、本人がその教育訓練施設に支払った経費の一部を支給する雇用保険の給付制度です。

離職していなくても使えるところが良いですね。

今回の拡充内容は

〇専門的・実践的な教育訓練として厚生労働大臣が指定する講座を受けた場合に、受講費用の4割を給付し、資格取得等の上で就職に結びついた場合には受講費用の2割を追加的に給付する(給付上限は年間48万円)。

一般教育訓練給付金は受講費用の2割を支給、給付上限は10万円であり、専門的・実践的な講座と分けられているので確認が必要です。

〇教育訓練支援給付金を創設し、45歳未満の離職者が上記の厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講した場合に、訓練中に離職前賃金に基づき算出した額(雇用保険の基本手当の半額)を給付する。

こちらは平成30年度までの暫定措置です。

このように、教育によって専門的な知識・技術を得て生産性の向上や新しい職を得られるよう補助しています。

専門性としてどのような講座があるのか見てみると、看護師、介護福祉士、美容師、調理師、保育士などがありました。習得するのに時間とお金がかかるもので、助成があっても大変でしょうが、少しでも助けになれば、と言ったところでしょうか。

当然ながら雇用保険の被保険者・被保険者であった者でなければ受給できませんし条件がありますので、活用しようとする会社・従業員の方は、しっかり確認ください。


参照
厚生労働省ページ 教育訓練給付制度
http://www.mhlw.go.jp/bunya/nouryoku/kyouiku/

なると事務所
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