2016年05月30日

労災死亡者1000人を初めて下回る。厚労省発表。

「働く喜びに満ちた会社」に育てる!の成戸です。

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◎労災死亡者1000人を初めて下回る。厚労省発表。

厚生労働省では5月17日に平成27年の労働災害発生状況を公表しており、1948年の統計開始以来、労働災害で亡くなった人数が初めて1,000人を下回ったことがわかりました。

正確な人数は972人で、仕事中に命を落とされています。行政官庁から会社経営者、現場の従業員まで、皆さんの安全への努力が形になってきたわけですが、ゼロにならなければ、どこかで誰かが大変な目に遭っているわけです。

死亡者数が多い業種は、建設業:327人(前年比50人・13.3%減)、製造業:160人(同20人・11.1%減)、陸上貨物運送事業:125人(同7人・5.3%減)となっており、

死傷者数(死亡・休業4日以上)が多い業種は、製造業:26,391人(前年比1,061人・3.9%減)、商業:17,150人(同355人・2.0%減)、建設業:15,584人(同1,600 人・9.3%減)、陸上貨物運送事業:13,885人(同325人・2.3%減)となっています。

死亡者と、死傷者の業種別件数を見比べてみると製造業は怪我が多く、建設業は死亡事故件数が高いことが分かります。

災害発生状況では

死亡災害
高所からの「墜落・転落」による災害が248人(前年比15人・5.7%減)、「交通事故(道路)」が189人(同43人・18.5%減)、機械などによる「はさまれ・巻き込まれ」が128人(同23人・15.2%減)となった。

死傷災害
つまずきなどによる「転倒」が25,949人(前年比1,033人・3.8%減)、高所からの「墜落・転落」が19,906人(同645人・3.1%減)、機械などによる「はさまれ・巻き込まれ」が14,513人(同725人・4.8%減)となった。

重大災害
「交通事故」が132件(前年比15件・10.2%減)、一酸化炭素中毒や化学物質による薬傷などの「中毒・薬傷」が54件(同4件・8.0%増)、火災などによる「火災・高熱物」が15件(同1件・7.1%増)となった。

怪我では転倒と転落が多く、普段の労働環境の整備で改善できる部分ではないかと考えられます。


ここで一つの考え方をお伝えします。
労働災害の経験則から生まれた有名な法則に「ハインリッヒの法則」があります。

これは1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというものです。

例えば転倒などの怪我で、労働基準監督署へ報告する必要もないような軽微なものが多くある会社では、いつかは重大事故が起こる可能性が高いと考えられます。

そんな会社では、転倒で骨折するけが人が出た際に「とうとう出たか」といった感想を抱くような労働環境になっている可能性が高いと思います。

つまり、従業員は「いつかは重大な事故が起こるだろう」と予感するような、危険な場所があり、それを放置しているのです。

「転んだ奴が悪い」では済まされないのが会社です。普段から職員の行動範囲、移動パターン、仕事の仕方を再点検し、動線を把握した「物理的に働きやすい職場」を創造しましょう。


参照。関連リンク
平成27年の労働災害発生状況を公表(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000124353.html


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2016年05月26日

社会福祉法人隆生福祉会「ゆめパラティース」「ゆめ中央保育園」訪問

「働く喜びに満ちた会社」に育てる!の成戸です。

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◎社会福祉法人隆生福祉会「ゆめパラティース」「ゆめ中央保育園」訪問

昨日5月25日、「いい会社」研究会の見学で、社会福祉法人隆生福祉会の「ゆめパラティース」「ゆめ中央保育園」に訪問しました。

遡ること3月に社会福祉法人隆生福祉会を含む「フジモトゆめグループ」のフジモト眼科に訪問しました。ほかの病院では見られない、素晴らしい環境を拝見することができましたが、その際に、フジモト眼科の他にグループとして数年の間に事業と施設をいくつも設立してきた勢いについて、もっと知りたいと思っていました。

特に今回訪問する老人ホームは世間一般的なイメージ「仕事がきつい、給料が安い」といった、あまり良くない仕事として見られている中、どのように経営されているのか興味がありました。

「特別養護老人ホーム ゆめパラティース」は兵庫県尼崎市にあります。道で言えばメインストリートから外れた工場が隣接する場所にあり、特に好立地というわけではありません。あえて言えば工場とは反対の側に公園があり、施設の中からきれいな緑が見え、利用者とその家族の癒しとなっています。工場の騒音対策に、防音ガラスを建物に使用するなどの努力をされており、それと同時に工場側にも防音対策などの協力を求め、工場側の敷地の木を切らないよう緑を残しています。

施設に入ると豪華なソファーやピアノの自動演奏、中庭の景色が美しく、高級ホテルに来たと間違うほどの洗練された空間となっており、それは入所者の利用されている部屋や階であっても徹底されています。階ごとに名前とテーマがあり、ユニットに分けられた部屋割りごとに、カーテンや時計の色まで決めて合わせており、物の配置もすっきりしており清潔で、壁や椅子などの質感も落ち着きと質の高さを感じさせます。

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様々に理由はあるでしょうが、利用者が老人ホームへ親を入れる負い目を感じないで、むしろ安心感を抱いてもらえるように努力されている点と、求職者が見学に来た時に、ここで働きたくなるように、綺麗な環境は必要であると聞きました。

病院や施設によく見られる、壁の張り紙がありません。理由を聞くと、職員一人一人が意識すれば、張り紙をする必要がないそうです。

当施設は設立3年目のため、新卒採用やグループ内の施設からの異動で雇用されているようです。そのため若い人が多く見受けられましたが、元気でありながら落ち着いた様子です。職員の方に道具の説明と予定になかった質問もさせていただきました。明るい笑顔でハキハキとお話しされる様子から、働きやすい環境で、暖かくしっかりした教育を受けているように感じられます。

入所者の入浴や、ベッドへの移動は職員にとって体力のいる動作です。その軽減にリフトが用意されています。理事長の提案で「職員を大切にしよう」と導入されたのだそうです。

統括部長の加藤様や藤本施設長らにお話を聞きました。施設と環境を美しくすることや職員の心構えから働き方まで藤本理事長が各施設を見て回り、事細かく指導されています。月2回の運営会議は施設を変えて行い、それ以外にも頻繁に来て指導されるということで、理事長の方針や考え方が伝わるよう徹底されています。運営会議では特に、職員からの提案のできる場であり、それを聞き入れることによって改善ができたり、さらにセンスの良い環境つくりに活かされているように見受けました。以上を聞いて私は藤本理事長は現場が好きで、仕事の哲学が明確にある方だと思いました。また、これによりトップのぶれない姿勢が直接伝わり、職員の皆さんは安心して仕事ができるのではないでしょうか。

お昼は、経営されている「洋食レストランKiitos 」さんで藤本理事長と共に昼食をいただきました。その際に質問として「センスを磨くために何をされていますか?」と尋ねたところ「本を読み、綺麗なものを見て、素敵な人に会うこと」とお答えくださいました。今書きながら、これは人生を豊かにすることであると気づきました。

午後は大阪にある「ゆめ中央保育園」に訪問しました。
こちらではプロテニス選手にテニスの手ほどきを受けられ、外国人英語教師は常駐で教育しており、教育の現場を拝見しましたが、子供たちは体で英語を身に着けているようでした。さらにはお茶室もあり、武者小路千家の先生がお茶を教えてくださるようです。その際には子供たちはきちんと座ってお茶をするとの事で、子供の吸収力の凄さを再確認しました。このように子供の可能性を本当に信じて、伸ばす方法を「実行」されている点が他の保育園と全く違うように思います。

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大谷園長を中心にお話を聞いたところ、大谷園長は元はアナウンサーをされていた方で、話し方を藤本会長・理事長にレクチャーしていたところ、保育園を設立する前に園長就任を依頼され、今に至るそうで、場所を用意する前に人の人選が先で、さらに「この人だ」と思える人を勧誘して自社へ来てもらえる人望や伝え方も、理事長の凄いところです。プロテニス選手も口説いて来てもらっているようです。

今回私が一番強く感じたのは事業の立ち上げ前から「『いい会社』にしよう」とイメージし、スタート時から方針を貫いている点です。これによって勢いが途切れることなく継続し、また別の事業に着手出来るだけの余力が生まれるのではないでしょうか。

今回も、今まで学んできたことの再確認と、実感としての学びを得ることができました。ありがとうございました。


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2016年05月23日

5月読書会開催

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◎5月読書会開催

昨日22日に読書会を私の事務所で開催しました。

今回の課題本は「夢をかなえるゾウ2(水野敬也:著)」です。

1冊目が200万部を売り上げた作品となっているそうで、その続編となっています。すごいですね。

1冊目は既に読書会で読み終わってるので、今回は2となりました。

内容は、主人公の夢や幸せを叶えるために教えを与える神様の言動が面白く、それでいて説得力があり、読後に教えを実行する気分にさせてくれます。

その教えの1つを読書会らしく選ぶとしたら「図書館へ行く」ですね。

「世界中のいつの時代も人の悩みは同じ。本は、その何十億人の悩みを解決するために昔から作られてきた。それで解決できない君の悩みは何?新種?」と神様は言います。

説得力がありますね。確かに本を読まない人より、多くの本を読んでいる人のほうが知恵がありそうです。もちろん実行に移すのが大切です。

読んでいて、文章の流れがとても良く、簡単に読めるのに難しいことを教えてくれるように思います。

そして難しい漢字にルビが振ってあり、1ページの文字量を少なくしたり、集中力が長く続かない人向けに区切りを多く付けており、普段本を読まない人でも読みやすくする工夫をしているように見受けられました。

良い本です。一度目を通されてみてはどうでしょうか。


今回のおやつに、私は事務所の近所で知られたお店の「みたらし団子」を参加者にお出したところ好評だったので、また買ってこようと思います。

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2016年05月19日

『企業文化の影響力』と『負けない経営』

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◎『企業文化の影響力』と『負けない経営』

三菱自動車が走行燃費の改ざんをしていた事実が明るみになりましたね。(追記:他社でも定められた計測方法と異なる方法で計測していたとして報道されています。)

過去にもリコールを隠していた問題で経営に打撃を受けた・与えたにもかかわらず、会社の芯の部分で変わることが出来なかった様子が新聞などで取りざたされています。

「してはならないこと」を意識的に行ってしまっていた事実は、どう考えても、顧客より自社の利益、更には自社より(隠ぺいした)個人の利益を優先した結果なのでしょう。

「隠し事は、いつか表に現れる」のは大人なら良く分かっているため、ある種の思考停止状態に陥っていたのでしょうか。それとも隠し切れた別の問題があるために、今回も大丈夫と思ったのでしょうか。

経営がどんなに苦しくとも、してはならないことはしない。と踏ん張れるか否かは、その会社が持つ職業観、倫理観や道徳観、プライドの内容といったいわゆる「企業文化」に影響を受けています。「体質」などとも言われていますね。

企業文化は当事者が自覚しなくても経営の重要な判断に影響を与える強力なものです。

今回も会社外部の人間からは理解できないような「三菱自動車独自の文化から生まれた理屈」が働いたと予想できます。

個人が間違ったことを行ったとしても、過去のミスから、大事な仕事にはチェック機能があっても良く、つまり自浄作用が機能していたかどうかも問題となります。

このあたりの変革を行わない限り、間違いを繰り返すことになるでしょう。

「してはならないことをしない」という姿勢は「負けない経営」となります。それは「失点を減らし、ゼロに近づけ、更に安定させる」大切さを教えてくれます。当たり前ながら、実は難しいと感じられてきますが、目指すべきです。

今回は三菱自動車が自ら転んで日産自動車の傘下へ入ることになりました。日産としては労せず破格の安値でライバルを買い取ることが出来たといえます。

負けない経営を続けると、ライバルが勝手に転落し、業界の上位へ立てることもあるのですね。

今回は日産が良い経営を行っているかどうかよりも、三菱が決定的な失敗をしたと見たほうがよさそうです。

さて、トヨタの社長よりも多くの報酬を得ているゴーンさんは、どのような手腕を発揮して改革を行うのでしょうか。気になるところですね。

「勝つ経営」については、また別の機会に書くことにします。

今回はこのへんで。


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2016年05月16日

定年再雇用後の賃金低下は違法。判決。とその諸問題

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◎定年再雇用後の賃金低下は違法。判決。とその諸問題

ニュースで「定年後の再雇用後で同じ仕事をするにもかかわらず、賃金額が下がるのは違法であると東京地裁で判断された」と出ていました。

裁判にはならなくても、このような相談は実際に私のところでもあるため、今回は、この件について考えてみます。

まず前提として高齢者雇用安定法によって「定年は60歳を下回ることが出来ません。」

そのうえで雇用確保措置として従業員が65歳になるまで、会社は以下のどれかの措置を講じなければなりません。
@定年の引き上げ
A継続雇用制度の導入(有期雇用も可能)
B定年の定めの廃止

また、労働契約法には有期雇用と無期雇用の間で賃金や労働条件に不合理な格差を設けることを禁じており、今回は「賃金額の引き下げが不合理な格差に当たるか否か?」が争点となった模様です。

これに関連する法制として、雇用保険法の「高年齢雇用継続給付」があります。
これは雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の一般被保険者が、原則として60歳以降の賃金が60歳時点に比べて、75%未満に低下した状態で働き続ける場合に支給される給付金のことです。

つまり、例えば60歳からの再雇用で賃金が下がった場合、雇用保険からの給付金で賄われる部分があるため、実質的には大幅な収入減とはならないような仕組みになっているのです。

さらに事柄を複雑にするのは厚生年金保険法の「在職老齢年金制度」です。
これは働きながら老齢厚生年金を受ける人で、報酬と年金の合計額が一定額を超えると年金額が減額される制度です。

60〜65歳までの間では合計28万円を超えると減額調整が始まります。

その為、この制度に該当する人であれば「どうせなら年金を満額ほしい」と考える人が多く、その場合は、労働量や仕事内容を調整して賃金を少し減らし、28万円以下にしようと考えるわけですね。

以上の課題が絡み、さらに会社としては人手不足などの諸問題もあり、多くの会社が頭を悩ませているところです。

定年退職後も従前とすべて同じ仕事をしていて減額されるのは働く側としては納得出来ないであろう部分ですが、先に説明したように減額されると雇用保険からお金も出るし、減額しないと年金も減るのであれば、実は「適正な減額」をしたほうが労働者にとっても会社にとってもメリットが大きい場合がある事実を理解して頂ければ、冷静な判断が出来るのではないかと考えます。

もちろん減額するのであり、同じ仕事ではごく普通に考えて、おかしいと感じるのは私も同じであるので、役職者の定年に合わせたり、労働者の体力や、家庭の事情を考慮に入れて労働時間と多少の仕事の内容の変更を加えたりといった工夫はいくつでも出来るのではないでしょうか。

それでも賃金額を引き下げられるのが嫌で、定年前と同じ額を要求し、会社が支払うことになれば、会社はどうするか・・・減額できなかった部分を賞与で調整するかもしれません。お金に名前も色もついていませんし、会社の収支は労働者の希望とは別の問題ですから。(ただし、労働者のモチベーションが上がって良い働きをし、利益が上がれば、それは良い判断かもしれません。)


冒頭の裁判は、裁判まで至るには、私の感覚と、少ない経験から考えて、金銭的な問題以外に感情的な対立が会社と労働者の間にあったと想像します。

定年後や、定年直後までこの問題を棚上げしてしまった会社側の姿勢が良くなかったのではないでしょうか。

定年の数年前から、労働条件の変更について事前に十分説明し、理解を得るような努力をしておくべきでしょう。


参照
ハローワーク 高年齢雇用継続給付について
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_continue.html

日本年金機構 在職老齢年金
https://www.nenkin.go.jp/pamphlet/kyufu.files/0000000011_0000027898.pdf

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2016年05月12日

社外活動への参加は労働時間か?

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今日は少々、長文で難しい言葉が多く出ます。

◎社外活動への参加は労働時間か?

会社主催の運動会への参加や、会社で行うボランティア活動、社外研修や、果ては経営者の趣味に付き合わされる場合など、嫌々ながらも付き合わされている場合もあるようです。

その際に、「これは労働時間なのだろうか?」と疑問に感じることもあると思われますし、実際に悩まれている労働者、経営者もいます。

そもそも、就職時に労使で取り交わした労働契約の内容が明確であれば判断は比較的簡単にできるのですが、明確ではない場合や、そもそも労働契約書を取り交わさずに働いている人も多いなど、日本では労働契約についての認識が薄い状態です。

そのため、労働時間と個人の時間の線引きが非常に曖昧になっており、実務として現場での判断が困るのが現状です。

その曖昧さは労働法のみを読んでも分からないため過去の裁判の例を見ます。今までの判例の判断を、私が目についたものを挙げておきます。これで判断の材料や感覚を掴むと良さそうです。

三菱重工業長崎造船所(一次訴訟・会社側上告)事件最高裁判決 判旨 上告棄却
「労働基準法(昭和62年法律第99号による改正前のもの)32条の労働時間(以下「労働基準法上の労働時間」という。)とは,労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい,右の労働時間に該当するか否かは,労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって,労働契約,就業規則,労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である。そして,労働者が,就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ,又はこれを余儀なくされたときは,当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても,当該行為は,特段の事情のない限り,使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ」,当該行為に要した時間は,それが社会通念上必要と認められるものである限り,労働基準法上の労働時間に該当すると解される」

十象舎事件
 ( 東京地判平23.9.9労判1038.53。株式会社乙山事件・東京地判平24.3.23労判1054.47も参照)
 『労基法上の労働時間』とは,労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいうものと解されるところ……,その判断は,@当該業務の提供行為の有無,A労働契約上の義務付けの有無,B義務付けに伴う場所的・時間的拘束性(労務の提供が一定の場所で行うことを余儀なくされ,かつ時間を自由に利用できない状態)の有無・程度を総合考慮した上,社会通念に照らし,客観的にみて,当該労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かという観点から行われるべきものである

アクティリンク事件
 (東京地判平24.8.28労判1058.5)
 労基法が規制の対象とするのは,現に労働をさせている時間(実労働時間)であり,労働者が労務提供債務の履行を行っている時間であるから,実労働時間とは,@労務提供義務の有無(指揮命令又は明示・黙示の指示の有無など),A債務の本旨に従った労務の提供(業務性・職務性の有無など)といえるか否かといった観点からみて,労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと客観的に評価することができる時間をいうと解すべきである

総設事件
 (東京地判平20.2.22労判966.51)
 一般的に労働時間とは使用者の作業上の指揮監督下にある時間または使用者の明示または黙示の指示によりその業務に従事する時間と定義される

上記判例を見る限り、やはり実際の状態を見て判断するしかありません。

そこで、参考になる判断の一例としてまとめると、こんな感じです。

@ 指示命令や参加義務の有無と強度
A 規則や内規上の規定の有無と強度
B 不参加の場合の不利益取り扱いの有無と強度
C 業務との関連性の有無と強度
D 業務遂行上の必要性と強度
E 法令上の義務
F 業務からの解放の有無と強度

そのほか、菅野和夫著の「労働法」によると、『労働時間とは「使用者の業務上の指揮監督下にある時間または使用者の明示または黙示の指示によりその業務に従事する時間」と定義すべきである。』とあり、この一文が非常に分かり易いのではないかと思います。


最後に:
近年の労働者の感覚は、仕事とプライベートをハッキリと切り離し、個人の時間を大切にする人が多くなっています。

そんな人たちの感覚を軽視せず、合わせてゆく姿勢が会社側に求められています。


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