2020年10月19日

日本郵政事件と同一労働同一賃金


『「いい会社」への成長支援!』の成戸です。

ご愛読ありがとうございます!

◎日本郵政事件について

同一労働同一賃金についての最高裁判決という事で注目されていたので、判決文を軽く目を通してみました。

今回の裁判では正社員と非正規社員(有期雇用)との間で年末年始勤務手当,祝日給,扶養手当,夏期休暇及び冬期休暇等に相違があったことは労働契約法20条に違反しているとして非正規社員が会社に対して損害賠償を求めました。結果:労働契約法20条にいう不合理と認められ非正規社員側が勝利しています。

争点となる労働契約法20条は雇用期間が無期か有期かで労働条件が異なる場合、業務内容や責任の程度などを考慮した上で、両者の相違が「不合理ではならない」と規定しています。

ということで、正規・非正規の
ボルト&ナット職務内容
ボルト&ナット責任の程度
ボルト&ナット労働契約の方法
ボルト&ナット手当などの労働条件
ボルト&ナット賃金計算
ボルト&ナット人事評価
ボルト&ナット昇進昇格の有無と条件
ボルト&ナット配置移動の有無
ボルト&ナット正社員登用制度の存在
といった多くの判断材料と、争点となる手当の意味・役割からみて合理性について判断したことが分かります。

例えば年末年始手当は郵便局として最も忙しい時期である年末年始に、世の中の人は休日として休んでいる時に、勤務したことを理由として支給されていたため、

この条件に照らせば、誰が年末年始に働いても手当を出すべきでしょう、という結論ですね。

私としては「頑張ってくれた人に払う意味もあるでしょう、そこに差はないでしょうよ。」との感想を受けます。

私の感覚では同じ理屈(感覚)でその他の扶養手当なども当てはまると思います。

労務管理実務の視点から見て裁判自体の正直な感想としては「論点、判断共に以前からの裁判と同じ」に感じられました。

印象としてはメトロコマース事件、大阪医科薬科大学事件と同じです。

・・・・・・

ここからは主に裁判と労働者について書いています。

そして、やはり思うのは労働者が労働契約書によって当初から非正規においての待遇(手当など)を知った上で契約した、という建前があるにもかかわらず、就労して数年経過した後に裁判を起こし、これが判決によって認められる点です。

人によっては「後から駄々をこねれば得することがある」という風に見えるかもしれません。

なんとなく私の感覚では、契約の内容より法律が優位に立つ前提が分からないと、理解できない人も出てくるのであろうと想像します。それほど日本では法や権利と義務、倫理といったものが整理整頓できていない、教育を受けていない人が多い国、という印象を持っています。

今回の裁判では論点は「そもそも契約内容自体が法律に反していたかどうか」です。

そのため、就職活動を行い採用される際に渡された労働契約の書類をよく読んで「これはおかしい」と契約を拒否する選択肢もあるわけですが、

そもそも正社員と非正規社員との労働契約内容の比較はできないであろうと思われますし、仕事につきたい一心の求職者側としては仮に正規と非正規の差を知っていたとしても拒否する選択肢は選びづらいでしょう。

就業して数年後に契約内容が個人の要望とは異なる内容に変更される場合もあります。人数の多い会社では時々ある話です。その場合は就業規則の変更などのルール変更時に会社側と労働者代表が合意をすることになるため、代表の選出は慎重に行わなければなりません。

という事で知らない間にルールを変えられたとしても労働者個人としては極論として不服を申し立て退職するか黙って働き続けるかの二択となり、現実的に労働者個人は弱い立場であるという認識を持っておく必要がある、と何度もお伝えしたい。とくに就労前の学生には。

実は選択肢にはもう一つあり、裁判に訴える第三の選択肢を選ぶこともできます。

裁判は時間、金銭、精神的肉体的に多大な労力が必要となるもので、勝訴したとしても時には被害額(今回は未払い賃金)や裁判に費やした金額をカバーできる額を勝ち取ることが出来ない場合もあることから、労働者がこの選択肢を選ぶことが少ないのが現実です。そんなことをしているより早く新しい会社に就職した方が金銭的にも、心も健康であったりするわけです。

という事で、裁判を選択するという事はそれなりの覚悟が必要です。日本郵政グループには労働組合があるようなので、そちらの支援があったのかもしれません。ホームページにはカギが掛かっていて外部者は分かりません。

ニュースによれば「判決を受け、待遇の改善に向け労働組合と協議を進めることになりました。」とのことです。

日本郵便の非正規社員は
・契約期間に期限のある有期雇用の社員がおよそ9万5000人、
・契約期間に期限のない無期雇用の社員が9万人
とあり、この人数の労働条件変更による人件費額の増加は、かなり多そうです。
会社側としては一気には変えられないため、少しずつ追加する方向で交渉すると思います。
過去の未払いはどうするのでしょうか。これも交渉です。

非正規の方々は良かったですね、で終わりません。
そのお金はどこから捻出するのでしょうか。

正規職員の給料から引く?
郵送などのサービス料金の増額?(最近毎年のように値上げしていますけど)
採算の合わない地域から郵便局が撤退する?

その意味で社外の我々にも影響を与える可能性が高そうです。
民営化の功罪についての話はそちらの専門家にお任せします。

お役に立ちましたか?今日はこのへんで。
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成戸克圭「いい会社」研究ホームページ
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posted by なると at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | なると社会保険労務士
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