2021年09月27日

自分ファースト視点から見る良い会社の誤解


『「いい会社」への成長支援!』の成戸です。
ご愛読ありがとうございます!
今週も会社経営と人事労務のヒントをお伝えします。

◎自分ファースト視点から見る良い会社の誤解

「ブラック企業」という単語が世間一般で定着した感があります。

その反動で「ホワイト企業」の単語が生まれたように思いますし、「良い会社」もブラック企業という単語が生まれる前より強く光が当てられているように感じます。

ただし、その具体的な定義はなされていません。

「いい会社」を研究している私たちは従業員とその家族を大切にし、多様性を尊重する会社として定め、そうなるように支援する活動を個人で行い、またTNCというチームで活動をスタートさせようとしています。

さて、ブラック企業とはいったいどのような企業のことを指しているのか?

私は社会保険労務士なので、その視点で見れば「労働法を中心とした法律に違反している会社」と言えますが、これはブラックではなく違法企業、犯罪企業であり、色を付けるまでもないように感じます。

ただ、ブラック企業と名が付いた頃、長時間労働や関連した鬱病で亡くなった方がニュースで取り上げられたからこそブラックとつけられている所を見ると、これらも含めているようです。

世間の見方からすると違法であるかどうかもありますが、その一方で従業員に対して人としての扱いをしていないと感じるような扱いに不満を持っている場合にブラックと呼ぶことも多いようです。

イジメやパワハラなどのハラスメント行為は、これも憲法や様々な法律で禁じられ、法改正によりきんじられるようになり、これも法違反ですが、ハラスメント問題で話題に出ることとして、他者の行為に対しての価値観や感覚の違いによりハラスメントとして訴えらえる点において、難しい面があります。

具体的には上司が𠮟咤激励のつもりで部下に接したことが部下からはパワーハラスメントだと感じ訴え出る、というような場面です。

ここまでくると受け手次第でどうにでもなり「私がブラックと感じたらブラック企業なんだ!」という「何でもアリ」の混沌とした状況を作り上げてしまっている部分も大いにあると見ています。

そのため、一つの線引きとして「法律違反をしてない」があり、労働時間などの定量化して明確に出来るものはきっちりと管理記録すべきです。

「指導かパワハラか?」の線引きのように定性的になりがちなものについては、実は扱う言葉遣いや態度、教育マニュアルの前に、双方の信頼関係が意味を持っていたりします。

そして従業員の思いこみや世間の刷り込みによる世間ズレした主張があった場合にはしっかりと説明し教育してゆく必要があります。

話を戻し、もう一歩踏み込んで(今日の日記で最も言いたいところとして)「いい会社」のついての誤解を挙げておきます。

一般的な株式会社であり従業員の生活を安定させる意味でも利益を確保する前提があるとして、
「いい会社」は
・働かなくても報酬が出る会社ではありません。
・働く意欲がない人も受け入れてくれる場所ではありません。
・成長しなくても、仕事を頑張らなくても高評価されたり昇進昇格する会社ではありません。
・社会的弱者だから仕事をしなくて良い場所ではありません。
・従業員の成長する機会を用意していない会社ではありません。
・今だけ良ければ充分だとして、組織自体が成長しなくて良いわけではありません。
・「お互い様」「ワーク・ライフ・バランス」と言いつつフリーライドする人を守る組織でもありません。
・自信の感情の赴くままの言動が許される場でもありません。

中心を捉えず周りからそぎ取るような表現を用いました。これらが当然と思うのであれば、組織の成長や個人の行動変容が無ければ、早晩経営が立ち行かなくなるのも理解していただけると思います。

そして、「いい会社」であっても、時としてどうしても解雇せざるを得ない場面もあることも理解していただけると思います。労働者個人にとっても良い環境ではないはずです(箇条書き一つ一つに解説を入れると本が出来そうなので割愛します)。

しかし、上記の箇条書きした内容を受け入れてくれる会社を良い会社と思っている人は多くいます。箇条書きで書いた会社は一見ユートピアのように見える混沌の世界でしょう。これは日本の何らかの機能が劣化しているように感じています。これをどうすればよいのでしょうか。

やはり、その恐ろしさを直接説明するのではなくて、従業員の幸せを願いつつ人を育てる角度から考えるしかないと思います。もしくは情意豊かで道徳のある人と出会えるような工夫でしょうか(求人の前段階からの工夫)。その両方でしょうか。

働く側も、自身の幸せを自分ファーストのような近視眼的に考えずに広い視野で見て、理想の会社組織を考えてみることも大切だと思います。

お役に立ちましたか?今日はこのへんで。
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成戸克圭「いい会社」研究ホームページ
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岐阜県美濃加茂市の社会保険労務士
「なると社会保険労務士事務所」のホームページ
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「いい会社」コンサルティングチーム TNCホームページ
http://e-kaisha.info

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2021年09月20日

「新しいかたちの障がい者支援」ゼミ参加


『「いい会社」への成長支援!』の成戸です。
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◎「新しいかたちの障がい者支援」ゼミ参加

9月12日に「いい会社」づくり支援コンサルタントチームTNCで勉強会をしました。
今回は瀧幸子さんに講師を井していただきました。

瀧さんは大阪にあるフランス料理店ル・クロで行われている児童発達支援放課後等デイサービス、ル・クッカー管理責任者で、フランス料理をメンバーと作りながらの福祉を行っています。また、「一般社団法人こどもになる」ではル・クッカーにも来れない子どもたちの居場所をつくり仲間と共に運営されています。

ル・クッカー動画: https://www.youtube.com/watch?v=Dj1br1ol-tg

一般社団法人こどもになるホームページ https://sana-hoiku.com/

このように保育士の枠を超えた、一般的な福祉事業の枠をも超えた事業を取り組まれており、現場で働き、また経営についての視野を持つ意味で、我々にとっても社会にとっても非常に大切な人だと思っています。

今回はその事業全体の現状と、現場で分かったこと身に付いたことをお話してもらいました。

障害や引きこもりなどの事情を持った子どもたちと一緒に何かしよう、したいと考えている大人が増えている現在ではあるが、どのように取り組むか分からない人たちを瀧さんが巻き込んでゆく様子もわかり、素晴らしいと感じます。

「支援ではなく応援」という表現もあり、上からでもなく下からでもない立ち位置での姿勢を大切にされています。

子どもが大人を元気にする
お願いされることがやる気を起こす
相手の話を聴いて「そっか〜」と受け止め、こちらも想いを伝える
大切にされている、と感じることが大切
アタッチメントの重要性を理解したこと (アタッチメントとは なるとブログhttp://gifusr.sblo.jp/article/188014111.html
 
我々の仲間にこのような人が居て心強く思います。実際、現場、で教えてもらえることが多いと感じています。

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2021年09月13日

欧米と日本の人事の仕組みを知り「いい会社」づくりに活かす


『「いい会社」への成長支援!』の成戸です。
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◎欧米と日本の人事の仕組みを知り「いい会社」づくりに活かす

9月5日㈯にTNCの仲間と共に勉強会をしました。

私が講師を担当し、書籍「人事の組み立て(海老原嗣生:著)」を参考に、欧米と日本の人事制度の違いを学びつつ、日本の人事制度の理解を深める内容でした。

日本の人事制度といっても各社それぞれであり、特に中小企業においては、有るのか無いのか…のレベルであったりするので、言い換えれば人事制度の仕組みの流行や日本の歴史や国民性から生まれたところもあり、複雑です。

これを今回は簡単に焦点を日本の職能主義と欧米のジョブ型(ポスト型)と定め、日本の社会問題を人事から読み解く説明をしました。

抽象的になりがちな話であるため、話し相手として長瀧さんに具体例に語っていただき、仕組みがどのように働く個人に影響を与えているかを知り、理解を深めました。

今回の論点の一つとして日本の労働問題の一つに同一労働同一賃金があります。解決策として職務記述書により仕事内容を明確にして仕事を割り振ることで正規と非正規の待遇の格差を解消しようと試みがありますが、欧米でも職務記述書はその役割を終えているとして、解決策にはならない可能性が高いようです。

理由は職務記述書で仕事内容を明確にしようとしても、その実際は結局、曖昧な部分が多くなってしまう問題や、日進月歩の現在に仕事が固定化されるのはナンセンスであること、そして、

職務記述書で明らかにしても職能主義が残っているため、従業員個人の能力と待遇が連動している時点で、同一労働同一賃金が成立していない点など、混ざっています。

その他、日本の人事制度の中心にある職能主義は「誰もが成長する前提」の基で作られています。年功序列賃金も年を重ねれば経験を積み個人の能力が高まる前提であるため職能主義のひとつとも考えられます。この誰もが成長する前提の、成長する階段から落ちた時に救済する仕組みが無いのが日本の人事制度の問題点であると指摘されています。

例えば一度正社員をやめると非正規労働者になり正社員採用されるのが難しいことや、育児介護によって休職するだけでもその時点で本人の評価が下がり昇進昇格の足かせになること。ワークライフバランスと現在の仕組みの相性の悪さなど様々にありながら日本の人事制度は固定化されて現在までやってきました。

我々の目的は「いい会社」を創ることであり、そのために機能する人事制度の構築を考える必要があります。大切なことは現在の仕組みを理解した上で各社に合った人事制度を考えることだと思います。

「いい会社」でも年功序列が気持ちよく機能している会社や、逆に人事評価制度をしっかり行って個人の能力評価を待遇や従業員配置に活用している会社もあり、答えが一つとは限りません。

今回は考えるきっかけになる学びであったと思います。

お役に立ちましたか?今日はこのへんで。
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2021年09月06日

組織図と機能とその実際


『「いい会社」への成長支援!』の成戸です。
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◎組織図と機能とその実際

このブログは日記の形態をしているため、そのとき頭をよぎった物事を書いている気楽さがあります。

さて、今回も「こんな当たり前のことを書いて読者に申し訳ない」ような気持ちを覚えながら、しかし現実にある出来事として、不思議さと共に悩ましい現実のお話です。

ある会社の相談に乗り、経営者の大きな悩みの一つに「社長自身の仕事が多すぎる」というものがありました。

聞くと従業員40名程度の規模でありながら、社長が現場の仕事まで手伝っており、理由を聞くと「これを見逃すと大きな事故になる時に、どうしても手を出してしまう」とのこと。

相手の話をまともに受け止めると、大きな事故になるようなヒヤリハットが続発していることになり、それはそれで恐ろしい現場だ、となってしまいますが、私が見立てるとしたら「従業員が社長の現場仕事を用意しているのではないか」と考えますし、もう一つの原因として大きなものが「組織図」でした。

一般的な企業では社長を頂点に、部長数名、その下に課長、そして平社員大勢、と「ピラミッド型の組織」となるのですが、この会社は社長の下はすべて平らな「文鎮型」と呼ばれる組織となっていました。

文鎮型では多くの従業員の上司が社長しかいません。つまり指示命令、報連相の受け手も責任もすべて社長となります。これの解決策は平社員に権限を委譲することですが、すると全員に権限委譲することになり、全員が優秀でないと権限を間違えて使ったときに収拾がつかなくなります。課長や部長クラスの権限を平社員が持った時を想像してみれば分かると思います…。

社長の目が行き届く人数であれば、管理職を育てるより簡単なマネジメント方法かもしれませんが、この会社は限界を超えていました。

社長が現場に近いため変化に気が付くことはメリットではありますが、人に任せるより自身でやった方が早かったり、教育する時間が無いため、結局すべてを引きうける悪循環。そしてその様子を見ていた従業員が、現場の仕事の中で社長の仕事を用意し、取っておく。どんどん面倒になっていきます。

なぜこのような形になったか尋ねてみると「○○業界専門のコンサルタントが『組織の実際に合わせましょう』と言って、私もそのように思い、こうなりました(文鎮型組織図にした)。」

そのコンサルタントは日々髪を振り乱して働いている高齢の社長の悩みを聞いて、悩みである忙しさを解決するどころか、肯定して固定化させようとしているわけです。正直、呆れましたが私は上記にあるように問題点を指摘し、修正を助言して、その会社を離れました。理由は社長が某コンサルタントを重用したようで、その後、社長からお声がかからなくなったためです。

数年後にお声がかかり訪問したところ、組織が変化していました。何らかのきっかけで私が助言した方向性に修正して実行されていたのです。

時間がかかったのにもわけがあります。ピラミッド型にするには管理監督者(上司になる人物)を育てる、もしくは採用する必要もあるからです。

こうして社長から「ようやく少し楽になりました」「引退するときに、後継者が引き継ぎやすくなってきたと思います」との感想を貰いました。
(ただ、未だに社長が多くの支援者を自身の都合よく利用しようとして、支援者たちの方向性の違いから経営の芯が浮ついている様子があります。何度も理解を得るために長時間話し合っても落ち着かない様子に、こちらも力の入れどころが難しい状態となっています。)
一例の話はここまでとします。
・・・・・・

さて、地方の中小企業の中には組織図の図面上はピラミッドの三角形をしていても、ヒアリングして実際を確認すると真っ平にちょこんと社長が乗っている文鎮型の会社が多くあると感じています。そこでは経営者の能力が抜きんでていたり、逆に従業員を上手に育てられていないために立体的な配置が出来ない現実が見て取れます。

長年平和に働いて継続してきた会社が社長の引退と共に後継者がおらず会社を閉じてしまうのもこのような形が多くあり、社長の持っていた技術が失われ、平和に働いてきた中年以上の従業員も難しい転職に翻弄されたりする。非常にもったいないと思います。

従業員の教育による能力向上の中に、情意、人格を含め、向上心と自律心をもった起業家精神を育てられれば未来は大きく変わるはずです。このような現実と未来のギャップをどうにかするには早めに手を打つしかありません。

今回は組織図の機能の一端とその実際をお伝えしました。

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