2017年08月21日

賃金をさかのぼって請求できる年数が伸びる??


「働く喜びに満ちた会社」に育てる! の成戸です。

本日もご愛読くださり、ありがとうございます!

◎賃金をさかのぼって請求できる年数が伸びる??

民法の改正によって、労働に関わる内容も検討させる動きがあります。

やっぱり気になるのは、お金の話で、賃金や退職金の未払いに対しての請求できる権利の時効までの年数を変えるような議論が今後なされるようです。

つまり、さかのぼって請求できる年数が伸びる、かもしれない、というお話です。

現在の労働基準法では

労働基準法 第百十五条  
この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。


と、賃金などの請求は2年間まで有効、退職手当には5年間まで請求権が存在するとしています、が、下記の民法改正の内容をご確認ください。。

民法の一部を改正する法律(平成29年6月2日公布)

社会経済情勢の変化に鑑み、消滅時効の期間の統一化等の時効に関する規定の整備、法定利率を変動させる規定の新設等を行うもの。消滅時効については、

@ 民法における職業別の短期消滅時効(1年の消滅時効とされる「月又はこれより短い時期によって 定めた使用人の給料に係る債権」も含む)を廃止し、

A 一般債権については、
@)債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき
A)権利を行使することができる時から10年間行使しないとき
に時効によって消滅することと整理。

※ 施行日は、公布の日から起算して3年を超えない範囲内で政令で定める日。


と、ざっくり言うと最短5年、最長10年の間に請求権の時効を入れることとなりました。労働基準法との違いがありますね。

ここで民法と労働基準法のどちらを優先させるか、という問いが発生するのですが、

民法は一般法と言い、法における基礎の役割を果たします。そのうえで「もう少し詳しく定めよう」として労働基準法が定められているため(一般法に対し特別法という)、労働基準法の方が優先されます。

ただし、今回の民法の改正によって年数がズレる大きな違いが発生したため、議論する必要が発生したわけですね。

それで、仮に賃金の請求権の消滅時効が5年になった場合、年数が増える分だけ未払い賃金として請求する額が増える可能性があります。

改正する前だから安心か、というとそうではなく、現在であっても、残業代の未払いが「不法行為」(民法第709条)に該当するとして、この不法行為により未払い残業代相当額の損害を被ったという理由で労働者が損害賠償請求を行い、認められた裁判例があります(広島高裁平成19年9月4日判決 杉本商事事件)。

不法行為の損害賠償請求権の消滅時効は3年であることから(民法第724条)、不法行為としての請求が認められれば、未払い残業代として請求する場合と比較して、さらに遡って請求することが可能になります。

まあ、こんな心配は未払い賃金を発生させなければ良いだけのことですが。

たとえ経営者に悪意が無くても

時間外労働の理解の間違いから労働時間把握を間違う、
割増賃金の計算を間違う、
就業規則に定めた手当を支払ってこなかった、

など、色々と未払い賃金が発生する要因と可能性はあります。

きちんとした社会保険労務士が調べると、結構な割合でこういった問題を指摘される会社があります。

労働者に請求される前に、何らかの手を打つべき問題です。気を付けましょう。

今日はこの辺で。
(今回「引用」の機能がこのブログについているのを初めて知ったのでした。)

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参照
民法改正に伴う消滅時効の見直しについてPDF
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000170991.pdf
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事務所
岐阜県美濃加茂市の社会保険労務士
「なると社会保険労務士事務所」のホームページ
http://www.gifusr.jp/

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posted by なると at 16:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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