2018年10月01日

就業規則に年次有給休暇の買取を記載していた件


「働く喜びに満ちた会社」に育てる! の成戸です。

本日もご愛読ありがとうございます!

◎就業規則に年次有給休暇の買取を記載していた件

仕事上、会社のルールである就業規則を多く拝見します。

目を通し理解するには労働法令・民法・社会保険法令、日本語の文法と漢字などの知識が必要となり、読み終えた時には脳がお疲れになっているのですが、

会社の個性として法令に模範通りの会社、独特な規定を設けている会社、様々あり、会社の仕組みと組織文化、経営者の思想などが見えてくるため、面白く感じます。

そんな中、最近拝見した或る会社の就業規則で珍しい一文を発見しました。

「年次有給休暇の未消化で時効となったものは1日○○円で会社が買い取る。」

すぐに「違法?」と反応しました。

実際は年次有給休暇の買取は違法とされています。

行政解釈でも、
「年次有給休暇の買上げ予約をし、これに基づいて法第 39条の規定により請求し得る年次有給休暇日数を減じないし請求された日数を与えないことは労働基準法第 39 条違反である」(昭 30.11.30 基収第 4718号)

と明らかにしています。

しかし、法律では年次有給休暇は権利発生から2年で時効となり、2年以後のことについては関知していません。

つまり言い方を変えれば「生きている年休は買い取ってはダメ」となります。

ならば冒頭の会社の規定は問題ないと判断できるのでしょうか?

そのためには労働基準法で年次有給休暇を定めた意図(趣旨)を考えなければなりません。

文言を探してみると厚生労働省で見られる
労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るとともに、ゆとりある生活の実現にも資する

がしっかりと趣旨を表現しています。

培養という表現がなんとも感覚的に不思議ですね。

さて、これを読むと『「疲労回復」や「ゆとりある生活」の実現方法』を金銭で買い取る約束をする行為は、避けるべきであると分かります。

そして従業員が『未来に向かって「有給休暇を使わなかったら金銭を払う」』という文言を就業規則で見た場合、積極的に有給休暇を使わなくなる可能性があると考えられるため、やはり避けるべきでしょう。

従業員側から見ても「労働を免除する権利を売れる」「労働時間を売れる」というメッセージを受け取った場合、お金が欲しい従業員の中で有給休暇以外にも休日を買い取ってもらおうと発想する者が現れる可能性はあり、その場合あえて休日労働をして給料を増やそうとする、

つまり「高い質の高い仕事をして労働時間を短縮し、これによって高い評価を受け、給料を増やそう」という発想とは真逆の考え「労働時間を増やして給与を増やす」へ向かう可能性を秘めていると考えられます。

「来月はお金が必要だから、平日に仕事の手を抜いて休日の仕事を作っておこう」と言う具合に。

この発想を会社きっかけで植え付けるとしたら、非常に残念です。

尤も制度化した会社では「使わなかった有給休暇を無駄にするのは可哀想だから買い取ってあげよう」の優しさから規定したのでしょう。

しかし、そもそも年次有給休暇を消化しやすい会社にすれば、このような問題は発生しません。こちらに注力すべきであると思います。

付け加えますと、法違反でなくても労働基準監督署は指摘しますし、趣旨に反するだけで新聞・メディアにも載ります。企業としてのイメージダウンになるでしょう。

発想の転換が求められる事例でした。

今日はこのへんで。

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成戸克圭「いい会社」研究ホームページ
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posted by なると at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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