2020年06月22日

従業員を科学的に管理するか、関係性を重視して関わるか。


『「いい会社」への成長支援!』の成戸です。

ご愛読ありがとうございます!

左手はほぼ治ってきています。ご心配おかけしました。
今回のブログも音声入力とキーボード入力で行なっています

◎従業員を科学的に管理するか、関係性を重視して関わるか。

コロナウイルスによって自宅での自粛が長くなっている中、以前読んだ本の読み直しをゆっくりと行なっています。

経営学の歴史の中で科学的管理法と人間関係論の発生と対立とについての部分を読んでいると、思考・思想について現在も未だに変わらないように感じました。

以前も同じ内容を書いたような気がしますが、論点が少々違うかもしれません。

さて、科学的管理法とは、例を挙げますと、スコップで石炭を運ぶ作業において(そういう時代に研究された)スコップに乗せる石炭の量によって、どれだけの時間でどれだけの量を運搬できるか、また労働者の疲労度をどうなるのか、いわゆる作業効率について科学的に研究したものです。

この考えによると人間を、ある刺激を与えると同じ反応を出力する、機械的なものとして見ています。

ある時、この科学的管理法の研究の一環として、工場で実験をた時、意外な結論が出ました。工場内の照明や気温が労働者の作業効率にどのような影響を与えているか、調べる内容であったのですが結論としては、労働者のやる気や人間関係が作業効率に大きな影響を与えている結果が出ました。

これにより生産性を高める上で必要な視点として人間関係論という新しい経営論を作り出しました。

ここでわかるように機械的な科学管理法と人間性・人間の社会的動物性に注目した人間関係論は相対する考え方のように思われますが、実際は「どちらも大事な考え方」です。両方をうまく使えれば良いと思います。

ただ現在でも偏った思考となりがちでして、a を入力するば b を出力するという単純明快さが知性的と感じるのか、科学的管理法だけで経営を語られても困るわけです。経済学の中にも人間心理を活用した経済心理学の中にも結論だけ単純化した書物などが本屋さんに並んでいるところを見ると、人間というものは非常に単純で簡単と思われるような思想が蔓延する危機感を感じます。

もちろん人間関係論の中にもそれなりの結論があるわけですが、現実にこれらの結論・手法をもとに実践する際には、現実である従業員や組織感情をふまえ、調整・再調整しつつ望ましい結果を生み出す努力が必要となります。

社会保険労務士という職業柄、就業規則というルールを作り、これを入力とすれば、従業員のルールに基づいた行動が出力となるわけですか、この日記でも何度も書いているように人間は言われた通りに全て正確に行動することができるとは限らない生き物であります。特に中小零細企業ではルールを作れば皆が従うというのはほとんど錯覚です。

しかしながら社会保険労務士の中にはルールを作れば解決すると考えている者も多くいます。(これはまだ善良な方で、依頼した会社に合わせた就業規則もつくらず、手元にあった就業規則の社名を書き変えるだけで何十万円と報酬を請求する社会保険労務士もいることに注意してください。見分け方は簡単です、就業規則の各条項の説明をきちんとしてくれない社会保険労務士は怪しいと考えてよいでしょう。)

社会保険労務士の中には科学的管理法に出てくるような機械的なものとして人を扱う指向の者がおり、それはルールづくりや労働関係諸法令の勉強、社会保険の手続きにおいても、ルールに照らせば即座に答えが出る、そんな部分の仕事を多くしている職業病なのかもしれません。

特に給料計算、社会保険の手続き、就業規則の作成といった、中心業務において人間関係論について考えを巡らす者は非常に少ないのであろうと考えています。

ここまできて、ようやく自分が人間関係論的な視点で「いい会社」について考え、社会保険労務士と会話しても相手の反応が薄かったり、話が通じなかったりすることについて理解が出来ました。

彼らの言う「良い会社」「人を大切にする会社」は、就業規則がしっかり作られており、特に育児介護についての規定がしっかりしており、福利厚生が手厚く、ハラスメントは無く、時間外労働は少なく給料は高い、そんな大企業の方角に目が向けられています。

もちろん人間関係論のみで「いい会社」を語ることは出来ません。前半で述べたように科学的管理法も活用次第で大切です。

そしてイノベーションサイクルの高速化しつつある現在において企業に求められるのは、イノベーションを生み出す能力です。その意味でも組織において知識を生み出す人への理解、個人と組織の関係性について重要さを増してきています。

冒頭で述べたように科学的管理法の考え方は効率性を高めるための測定でした。

そもそも効率性を高めることが何に繋がるのか。短時間に質の高い製品を安価にたくさん製造できる、その先には…。大切なのは働く人の幸せにつながることです。

管理するように従業員の幸せをコントロールすることは難しい。従業員のモチベーション・経験・価値観などについて測定することも難しいと思います。

ただし、測定という定量化をできないとしても、定性化することは出来ます。実践として従業員の幸せそうな様子を見て、良い、と感じ、その状況を生み出す、継続する。これを出来るようにすることです。これが私の考える「いい会社」です。日本の企業の1%に満たない大企業にならないと叶えられない待遇とは違います。また、大企業の下で苦しんでいる下請けがあるのなら、それは幸せであると言い切れません。

例として坂本光司先生の研究はこの点について企業訪問のフィールドワークによって定性的に観察しているのです。それが「日本でいちばん大切にしたい会社」「人を大切にする経営学講義」の表現で書籍になっているのです。

坂本先生の本が「役に立たない、心に響かない」と言う人は、人が集まり組織として動く動態に理解が出来ないという問題から、仮に経営者であれば反省するか経営者交代をすべきなのかもしれません。会社が不調を起こす可能性が高く、それにすら気づくのが遅れ、手遅れとなる事例は聞きます。

科学的といえばコロナ禍に対する対処としてテレワークを導入した会社が多くあります。従業員個人による成果が明確化する意味で人事評価も変わってくる可能性が出ていますが、日常業務(ルーティン)を評価はできますが、それだけで会社は継続できません。日々小さな新しい知識を生み出し、結果としてイノベーションを(小さくても)生み出すことで会社は前に進んでいきます。すると知を生み出す源泉である人間とその組織についての理解をふまえた評価が経営戦略的に必要になります。同じようにテレワーク機能の使い方も、テレワークを使う部署の人員配置も、組織図も変わるかもしれません。

という事で、科学的管理法と人間関係論という二項の比較(例えとして理系と文系と言い直すと分かりやすいのかもしれません。)をしながら、未だ根強く残っている指向と合わせて書いてみました。

お役に立ちましたか?今日はこのへんで。
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成戸克圭「いい会社」研究ホームページ
http://gifusr.jp/laboratory/

事務所
岐阜県美濃加茂市の社会保険労務士
「なると社会保険労務士事務所」のホームページ
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posted by なると at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | なると社会保険労務士
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