2021年12月06日

従業員という自覚と個人主義


『「いい会社」への成長支援!』の成戸です。
ご愛読ありがとうございます!
今週も会社経営と人事労務のヒントをお伝えします。

◎従業員という自覚と個人主義

5年前くらいからでしょうか、経営者との会話で「人不足」がじわじわと話題に出るようになり、現在は決定的になってきました。

求人募集しても一切応募がない。という話は地方の中小企業ではごく普通の状態となっています。

(ただし「いい会社」と私が思う企業の中には「人は充分に足りている」「多めに配置している」「○月から新たに入社してきます」との話をよく聞くので実際には会社の実力が見える形になっている、と言っても良いとは思います。)

さて、話を戻し、売り手市場の現状では労働者の方の立場が強くなっており、以前にも増して「嫌なら会社を辞めます」という強気の社内交渉を行う労働者も増えているように思います。自身の思い通りに事が運ばないとすぐに嫌気をさしてワガママを言う。退職を切り札に自身の有利に立ち振る舞おうとする姿勢は会社側にとって頭痛の種となっています。

これの遠因として、地方中小企業のよくある課題として「労務管理をしていない」があり、例えば労働契約書を交わすことすらしていない曖昧な採用など、非常に緩くあります。それは雇用する側と雇用される側をハッキリとさせない不明瞭な立ち位置のまま関係が出来ている状態で、これが労使の特に労働者側の労働者としての意識を持たせない原因になっているように感じています。

言い方を変えれば「自分は労働者で、会社の指示命令に従って仕事を行い、一定の成果を上げて事業に貢献し、それによって報酬が発生し受け取れる意識」です。これが希薄な元のひとつに「雇用されている」との認識の薄さがあるのではないか、ということです。

この問題(労働者の自覚)への対応策として、例えば理念を作り浸透させれば会社の方向性に合わせて働いてくれる、と主張する経営支援者、宗派もいると思います。家族経営を大切にして親身に付き合うことで解決しようとする思想家もいるでしょう。

ただ、私が表現するとすれば「働いて幸せになる」という表現になり、会社で働くとは組織で働くことであり、個人は組織に合わせることです。組織で働いて幸せになることを考えてみましょう。

個人は基本的に外部からの要請が無ければ自分勝手に自由に行動するものであり、この行動をある程度制限して集団行動することで組織として機能し、また集団行動の強みが発揮されることを理解しなければなりません。

会社組織と言う集団は、株式会社ならば特に利益を追求し、その利益を関係者に分配する目的があります。目的達成するための役割分担が行われ、労働者も、雇用され、その役割の達成を求められます。

働きやすい労働環境は、役割を果たすうえで良い環境であり、効果的であると言えます。労働すべてを幸せに出来る、と言い切れるほど甘くはない現実の中、皆で力を合わせて頑張れる環境が働きやすい環境と言い換えることもできるのではないでしょうか。

これは労働者一個人の都合では成立しません。お互いに支え合う、つまり譲り合う場面もあるのです。とても大事なところですね。

(これも会社側ばかりが譲れと強要すれば、退職することもある、とクギをさしておきます。ただただ「頑張れますか?」と社長が従業員に迫るのも変なことで、働きやすくする工夫を考えるべきでしょう。)

これも一例ですが、労働者が難しく貴重な資格を取得して、希少性から企業が厚遇することもあるでしょうが、それによって人と人の支え合いから免除されるわけではありません。

むしろ、そのような貴重な人物には率先垂範してリーダーシップを発揮し、良い環境を構築していただきたいと思います。

個人の能力で出来ることは限られます。近年の個人主義、自己責任論の行き過ぎから反転して、従業員であり仲間と働いている意味を考え直す機会を社内で持つのも良いかもしれません。

お役に立ちましたか?今日はこのへんで。
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成戸克圭「いい会社」研究ホームページ
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posted by なると at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | なると社会保険労務士
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