『「いい会社」への成長支援!』の成戸です。
ご愛読ありがとうございます!
今週も会社経営と人事労務のヒントをお伝えします。
◎キャリア とは
企業支援の中で「人」に関する仕事をしていると「キャリア」が論点となることが多くあります。
今頃になって気付くこととして、キャリアと口に出しているにもかかわらず、その意味をしっかり理解できていないのではないかと思い、調べて考えてみました。
厚生労働省「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書(※参照)の中に以下のように書かれています。
(枠で囲まれた引用文が長いので「要約すると…」まで読み飛ばしても良いです。)
○「キャリア」とは何か。
「キャリア」(career〔k§ri§〕)は中世ラテン語の「車道」を起源とし、英語で、競馬場や競技場におけるコースやそのトラック(行路、足跡)を意味するものであった。そこから、人がたどる行路やその足跡、経歴、遍歴なども意味するようになり、このほか、特別な訓練を要する職業や生涯の仕事、職業上の出世や成功をも表すようになった。
このように、経歴、遍歴、生涯と結びつけて「キャリア」という言葉が使われることが多くなっており、人の一生における経歴一般は頭にライフをつけて「人生キャリア」(life career)と呼び、そのうち職業を切り口として捉えた場合の人の一生・経歴・履歴の特定部分を「職業キャリア」(professional/occupat ional/vocational career)と呼んで区別することがある。
なお、遺伝子の保有者、伝染病の保菌者などを指す「キャリア」(carrier〔k¢ri§〕)は、運ぶ(carry)からの派生語であり、違う語源の単語である。
「キャリア」「キャリア形成」の意味
「キャリア」とは、一般に「経歴」、「経験」、「発展」さらには、「関連した職務の連鎖」等と表現され、時間的持続性ないし継続性を持った概念として捉えられる。
「職業能力」との関連で考えると、「職業能力」は「キャリア」を積んだ結果として蓄積されたものであるのに対し、「キャリア」は職業経験を通して、「職業能力」を蓄積していく過程の概念であるとも言える。
「キャリア形成」とは、このような「キャリア」の概念を前提として、個人が職業能力を作り上げていくこと、すなわち、「関連した職務経験の連鎖を通して職業能力を形成していくこと」と捉えることが適当と考えられる。
また、こうした「キャリア形成」のプロセスを、個人の側から観ると、動機、価値観、能力を自ら問いながら、職業を通して自己実現を図っていくプロセスとして考えられる。
要約すると
・人生の足跡(そくせき)
・職業経験の連鎖の中で職業能力を蓄積する過程そのもの
となりそうです。
「過程」であり「継続」からすると日々の仕事の中で育まれるものであると理解できます。例えば仕事一つ一つにおいて自身で工夫や試行錯誤せず漫然と業務の繰り返しをしている状態であればキャリアは積めないでしょう。そうです、積み重ねてゆくものなのですね。
キャリアを絵で想像すると階段状をイメージしますが、過程や継続からは坂道のイメージになります。能力の向上は階段が思い浮かびます。能力は、ある日とつぜん出来ることが増えたりするからです。例えば子供時代に自転車に乗れるようになった時のように。
その中で他者と比較しても突出した部分が目立った場合に「出世」や「転職で有利」といった話題に出るため、一部分の職業能力とみなされることもあるのでしょう。
その他、以前の資格ブームのように「キャリア=資格」は短絡的ですし、ある意味で商品販売のキャチコピーの部分が多く含まれているように思われます。そういえば正月には「資格の○○」から新聞の折込チラシが送られてきますね。
もちろん自身の仕事に必要となり資格を取ることはキャリアの1つであり、資格取得自体が目的になっては本末転倒であるというだけです。夢や目的・目標があってこそキャリアを積む方向が分かるのです。
キャリアが日々の積み重ねであるとすれば、人それぞれ生き方も違うように働くことの積み重ねも違うはずです。「彼は○○の仕事が上手く出来る」の中には、その人の総合的な積み重ねが結果を生み出している場合があり、仕事内容が複雑になればなるほど「その人そのもの」を理解しなければ○○の仕事を上手く出来る理由が見つけられません。単純にある1つの○○能力が有れば良いわけではないことがあるため注意が必要だと思います。
先ほどの資格の話も同じで、資格が有れば誰でも同じことが出来るわけでもありません。
もちろん作業ひとつひとつを分解して1つずつ作業の出来るかどうか(スキル)を一覧表にすること(スキルマップと呼んでいます)は分かり易く育成にも効果的です。
繰り返しになりますがスキルマップでは分析できないくらい複雑な仕事を従業員に任せる場合において、
難易度の高い仕事になった場合や、仕事の取り組み姿勢、同僚や顧客とのコミュニケーションの取り方など様々に総合しなければ分からない場合において「キャリア」という言葉を用いて判断や評価しようとする、と言うことではないでしょうか。
最後に。
キャリアは単語として定義や意味が人それぞれ異なっているように思います。例えば
・人生の足跡
・能力の獲得過程
・能力そのもの
・資格
・スキルマップ表
・総合的な人物評
のように。
そのため企業で人にかかわる仕事をされている人は企業ごとの定義をしたり、話し合いの中で確認を取りながら「未来について想像し語り合う」ことが大切です。
※参照 「キャリア形成を支援する労働市場政策研究会」報告書
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/07/h0731-3a.html
お役に立ちましたか?今日はこのへんで。
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成戸克圭「いい会社」研究ホームページ
http://gifusr.jp/laboratory/
事務所
岐阜県美濃加茂市の社会保険労務士
「なると社会保険労務士事務所」のホームページ
http://www.gifusr.jp/
「いい会社」コンサルティングチーム TNCホームページ
http://e-kaisha.info
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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